大和型戦艦の特徴を解説しています。


今回は戦艦大和の艦橋部。


さて、戦艦大和の艦橋の高さですが、
一番上の信号機部分から艦底までは、実に51メートルの高さがありました。

これはだいたい高層ビルの17メートルに相当します。


内部には、


5人乗りのエレベーターも設置されていましたが、
これでも大和型戦艦の艦橋は他の戦艦に比べて小さいほうでした。

なぜ小さかったかといいますと、
戦艦対戦艦の場合、艦橋に1発でも命中弾があれば、
艦橋は完全破壊されてしまいます。

そのため、なるべく艦橋をコンパクトにまとめることにより命中する確率を少なくしたわけです。


艦橋部
艦橋の最下部には厚い装甲におおわれた司令室があり、
砲戦の時にはここで指揮をとるようになっていました。



艦橋内部にある各室は、毒ガス防御のための機密構造にするなど、
より近代戦に対応した設備もととのっていました。


艦橋最上部の測距儀の上には、
840kgの二号一型電探が取り付けられていましたが、
海面の敵を捜索することができないうえに、
故障や誤作動が多くて実戦で使うには性能が悪すぎたようです。


その後、マグネトロンで発振される10センチ波を用いた二号二型電探が開発され、
大和型戦艦に装備されました。


この二号二型電探の特徴は、

〇 二号一型と比べて精度が高い
〇 近距離なら海面の敵でも探知できる
〇 レーダー管制射撃が可能

という、すばらしい性能をほこっていました。


しかししかし、実際に使用してみると、

● 二号一型よりも使えない
● 故障や誤作動がおおすぎる
● すぐ近くに浮上してきた潜水艦にも反応しない

など、欠点だらけ。

つまりは、二号一型も二号二型も共に使い物にならなかったというわけです。

このように、レーダー開発の部門においてはほとんど結果を出せなかった海軍も、
無線などの通信設備では、素晴らしい結果を残しています。


それが、大和型戦艦独特の艦後方のマストにある無線用アンテナです。

このアンテナは、なんと500海里の距離でも通信が可能だったといわれています。


実際に、ミッドウェー海戦のとき空母「赤城」には届かなかった日本本土からの通信情報が、
大和のマストにあった無線用アンテナには届き、これを受信することができていました。


もしも戦艦大和が空母と行動を共にしていれば、
ミッドウェー海戦での大敗はさけられていたでしょうね。



(参考)連斬模型に入っていた解説書